
こんにちは!番場FP事務所番場です。
今回は、2001年に発売され、全米ベストセラーになった「まぐれ-投資家はなぜ、運と実力を勘違いするのか」
の紹介をしたいと思います。
この本は、投資で儲けるためのテクニックや成功するための方法論を語るものではありません。
投資による成功のほとんどが、偶然や運によるものだと指摘している本です。
コロナショック以降の世界的な金余りの状況で、他人の投資成績や日々の経済ニュースに一喜一憂してしまうような方に、特におススメしたい一冊です。
著者について
著者は、ナシーム・ニコラス・タレブ。
元ウォール街の金融トレーダーで、不確実性化学を専門とする大学教授でもあります。
懐疑主義者であり、不確実なことを予測する学問に対して強い不信感を持っています。
物事は突然想定していなかったことが起きるから、過去のデータや統計で簡単に将来を予想するべきではなく、起きる確率よりも起きた時の影響を想定して意思決定をするべきだ、という主張をしています。
このような考えはトレード手法に表れており、実際にタレブは歴史的な金融危機の際に大きな利益をあげています。
経歴
トレーダーとしては、「ブラックマンデー」と呼ばれる1987年の株価大暴落の際に4,000万ドルもの利益を出したことで一躍有名となりました。
また、引退後も、2007年からの世界金融危機で数百万ドルの利益をあげ、直近では2020年3月の「コロナ・ショック」においてタレブがアドバイザーとなっているファンドが運用成績+3612%となり、話題となりました。
反響
「まぐれ」は、著者自身のトレーダーとしての経験に裏付けられた説得力のある本です。
発売されてから6年以上アメリカでベストセラーを続け、20年経った今でも投資の良書として幅広い投資家に支持され続けています。
要点
投資家の成功はまぐれ
タレブは、成功した投資家のほとんどはたまたま偶然うまくいっただけだと、痛烈に批判しています。
タレブが長年トレーダーとして活躍してきた中で関わってきた、自分の成功を実力と勘違いした投資家は次々と吹き飛んでしまっています。
その原因は、成功と同じような確率で存在していた別の道(大きく失敗していた可能性など)を無視してリスクを取り続けてしまったからです。
実際には起きなかったが、起きたことと同じような確率で起きる可能性があった別の道のことを、タレブは「違った歴史」と呼んでいます。
この「違った歴史」は、表に出てこないだけで、特にランダム性の強い市場においては常に存在しているのです。
しかし、人は結果から決断の正しさを判断してしまうため、たまたまうまくいった投資方法を素晴らしい決断として評価してしまいます。
そして、成功の経験と自信から違った歴史の確率を無視してしまうというわけです。
吹き飛ぶトレーダーに特徴的なのは、自分は世界がどんなふうになっているかとてもよく知っているので、ひどい目にあう可能性はないと思い込んでいることだ。
日々のニュースはノイズである
私たちの耳には、様々な情報が入ってきます。
特に投資家は、米国の経済指標や毎日の株価の動き、政治家や有名な起業家の発言など、株価に影響が出そうなニュースを日々チェックしていることが多いと思います。
タレブは、これらの短期的な出来事を報道するニュースを、ノイズ(雑音)と表現しています。
株価は金利、為替、他国の株価、企業成績、事件、気候変動など、たくさんの要因に影響を受けるにもかかわらず、日々のニュースではそれらの要因を単純化して報道してしまうためです。
例えば、ハイテク株の下落を「米国の長期金利の上昇を嫌気して」、などの表現ですね。
これらノイズによって日々の株価の動きに左右されることは、大きなストレスを生み、精神面でマイナスに働いてしまいます。
本書では、ノイズの対応策やタレブ自身の取り組みも紹介されています。
そんな調子でページ全体が埋まっている。意味が通じるように解釈をつけるとすれば、このジャーナリストはまったくのノイズにすぎないものに理由をつけられると言っているのだ。ダウが一万一〇〇ポイントだから一・〇三ポイントの動きは〇・〇一%未満だ。この程度では理由なんていらない。
まとめ
この記事では要点をかなり絞って紹介しましたが、本書では予測や確率、投資に関わらずなぜ成功している人のほとんどがまぐれなのかの理由が、たっぷりと書かれています。
クセのある文脈なので少し読みづらいかもしれませんが、興味がある方はぜひ一度読んでみて下さい。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。