
こんにちは!番場FP事務所番場です!
この記事では、自分が加入するべき保険がわからず悩んでいる際に活用できる、「リスクマネジメント」の方法について解説します。
この「リスクマネジメント」を活用することで、ライフプランニングを達成するうえでの様々なリスクについても確認、整理できますので、ぜひ活用してみましょう。
リスクマネジメントとは
リスクマネジメントとは、様々なリスクを想定・管理し、損失の回避や低減をはかるプロセス(手順)の事です。
もともとは1900年代初頭の米国企業で始まり、日本では1970年ごろから徐々に広まっていきました。
すでに1世紀以上の歴史がありますね。
現在では、企業以外にも医療介護現場や教育現場等、多くの組織で取り入れられています。
例えば、会社での新商品開発資料や顧客データを収容する棚には鍵をかけ、
鍵を責任者が管理するといったプロセスは、機密情報や個人情報の漏洩防止を目的としたリスクマネジメントです。
リスクマネジメント3つのプロセス
ライフプランにおけるリスクマネジメントのプロセスは、大きく分けると
「リスクの確認」⇒「リスクの測定」⇒「リスク対応の選択」の3つのプロセス※があります。
※リスクマネジメントは、分野によって多少プロセスが異なります。
ここでは、「ライフプラン」においてのリスクマネジメントという観点で紹介します。
今回、Aさん、Bさんの2人のケースにおいて、それぞれが必要な生命保険について検討するために、リスクマネジメントを活用すると仮定して解説していきます。
Aさん(30歳)
ITエンジニアとして会社勤務。厚生年金保険に加入中。
【家族構成】
配偶者(30歳)専業主婦。
長男(3歳)
長女(1歳)
【保有資産】
貯蓄500万
【趣味】
読書
Bさん(30歳)
自営業。大工。国民年金保険に加入中。
【家族構成】
独身
【保有資産】
貯蓄200万
【趣味】
ツーリング。
1.リスクの確認
まず、自身の現状や今後のライフプランにおいて、どのようなリスクがあるかを確認し、整理します。
・死亡した場合、残された家族の生活資金、子供の教育資金が不足するリスク。
・病気やケガによる治療費、当面の生活費が不足するリスク。
・重大疾病や重大事故による治療費や、その後の後遺症などで働けなくなってしまった場合のリスク。
・死亡した場合の葬式費用などの不足リスク。
・病気やケガによる治療費、当面の生活資金が不足するリスク。
・重大疾病や重大事故による治療費や、その後の後遺症などで働けなくなってしまった場合のリスク。
2.リスクの測定
次に、想定したリスクの測定を行います。
リスクの測定は、発生した場合の影響の大きさ(損失額)×発生確率で求められます。
測定するときは、以下のような図をノートに書き、当てはめてみるとわかりやすいです。
それでは、AさんとBさんの測定結果を見てみましょう。
AさんとBさんでは、それぞれ測定結果が大きく違いますね。
なぜ、測定結果にこのような違いが生まれるのでしょうか?
測定結果の違いの理由、それは、家族構成と職業、ライフスタイルとライフプランの違いにあります。
Aさんの場合、Aさんが一家の収入を支えていますので、死亡してしまった場合、小さいお子さんの今後の教育資金や生活資金への影響が非常に大きくなります。
また、重大な病気や事故により働けなくなってしまった場合は、収入の柱の損失と、Aさん自身のその後の生活資金や介護資金が必要となるため、就労不能は死亡より影響が大きくなります。
一方で、軽度の疾病やケガの場合、短期間仕事を休む場合には、厚生年金保険から傷病手当金が支給されます。
また、在宅で就労も可能な職業の為、影響は少なくなります。
Bさんは、死亡の場合、最低限の身支度整理金(葬式費用など)が用意できれば良いので、影響は小さくなります。
しかし、高所などでの作業を伴う仕事や、趣味のツーリングによるケガの発生確率は大きくなります。
また、身体が資本の仕事をしているため、ケガの箇所や状況次第では職場復帰が遅れてしまい、収入が途絶えてしまいます。
そして、重大な病気や業務外での事故による後遺症などで働けなくなってしまった場合、国民年金保険なので傷病手当金はおりません。
よって、就労不能の影響はAさんよりもさらに大きくなります。
傷病手当とは?
業務外での病気やケガにより働けなくなった場合に、公的医療保険(健康保険)から支給される給付金のことです。
自営業の方などが加入されている国民年金保険にはこの傷病手当金はありません。
支給額は計算式により算出しますが、おおよそ月収の約3分の2となり、支給開始から最長1年6ヶ月間支給されます。
傷病手当金については、傷病手当金とは?の記事で詳しく解説していますので、良ければこちらもご覧ください。
3.リスク対応の選択
リスクの測定が終わったら、今度はそのリスクにどのように対応するかを考えます。
リスクマネジメントの対応方法は、「回避」、「防止」、「低減」、「保有」、「移転」の5つがあります。
それぞれの特徴は次の通りです。
【回避】
リスクを発生させる要因そのものを取り除くこと。
例)危険な場所に行かない。
【防止】
リスクの発生を未然に防ぐ為の対策を取り、発生頻度を下げる。
例)生活習慣病予防のために栄養バランスのいい食事を心がける。スポーツの前には必ず準備運動をする。
【軽減】
リスクの深刻度を軽減すること。
例)運動する際は救急箱を持ち歩く。
【保有】
リスクに対して自らで対処すること。
例)病気やケガの治療費を貯蓄から支出する。
【移転】
リスクを他に移すこと。
例)保険に加入し、リスクを保険会社に移す。
そして、これら5つの対応方法のどれを選択するのかは、次の図をベースとして考えます。
では、ここでもAさんとBさんのケースで考えてみましょう。
Aさんのケース
Aさんの場合、死亡と重大疾病や重大事故による就労不能のリスクは、「移転」、つまり保険で備えることが望ましいことがわかります。
そして、軽度の病気やケガの場合、普段から予防を心がけ、発生した際には自己資金である貯蓄でまかなうことが、基本的な対応となります。
しかし、ここで注意したいのが、貯蓄の目的です。
現在、Aさん一家の貯蓄額は500万円あります。
この500万円が全て住宅購入資金や、子供の学資準備金であった場合はどうでしょうか?
病気やケガによる損失を貯蓄からまかなうと、その後のライフプランを見直ししなければならないという新たなリスクが発生してしまいますよね。
ですから、貯蓄の用途によってはリスクの「保有」ではなく、保険に加入し、リスクを保険会社に「移転」する選択肢が出てきます。
Bさんのケース
Bさんの場合、就労不能に対するリスクは、保険に加入し、リスクを保険会社に移す対応が必要となります。
また、軽度の病気やケガで仕事を休んだ場合でも、Bさんの場合は収入が途絶えてしまう可能性があるため、対応としてはリスクの移転が望ましいです。
そして、死亡リスクへの対応の基本は、「保有」となります。
またAさんと同様に、200万円の貯蓄に特定の目的や用途がある場合は、死亡保険に加入し、葬儀費用などの不足リスクを保険会社に移転する必要があります。
リスクマネジメントの見直し
リスクマネジメントは、ライフプランの変化やライフスタイルの変化によって、定期的に見直しをする必要があります。
なぜならば、引っ越しや住宅購入による生活環境の変化や、子供の進学、転職などによるライフスタイルの変化と共に、リスクも変化していくからです。
また、見直すことにより、新たなリスクの見落としによる損失防止や、新たなリスクに合わせた保険への切り替えによる適切なリスク対応にも繋がります。
まとめ
・リスクマネジメントとは、リスクを確認し、適切に対応するプロセスのこと。
・「リスクの確認」⇒「リスクの測定」⇒「リスク対応の選択」の順番で進める
・リスクマネジメントは、定期的に見直す。
リスクマネジメントのプロセスを活用することで、自分や家族にとって必要な保障を確認することができます。
また、自分自身が普段では気づけないリスクを発見できるかもしれません。
そして、リスクに適切に対応することが、自分や家族のライフプランの実現に繋がります。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。