
こんにちは!番場FP事務所の番場です!
本日は、市場全体へ投資するインデックス投資が、長期の資産形成において安定的なリターンを期待できる理由について、
データを交えながらお話したいと思います。
このテーマは、資産形成の第一歩!インデックス投資とはの中で最後にお話した、3つの重要ポイントの1つである平均回帰性とリターンについて詳しく解説する記事となります。
「時間」と「平均回帰性」
まず、結論です。
インデックス投資が、長期投資において安定したリターンをもたらす最大の理由は、
「時間」と市場の「平均回帰性」です。
「時間」は、短期間で上下を繰り返す、動きの激しい株式市場の変動幅を徐々に下げていき、長い期間をかけてリターンは平均へと回帰していきます。
平均への回帰
平均への回帰とは、統計学で使われている言葉です。
ある事象が短期的には偏りがある結果でも、長期的には平均値に近づいていくという現象を指します。
有名な現象としては、イギリスの統計学者フランシス・ゴルトンが19世紀末に発表した、親子の身長についての研究があります。
簡単に紹介すると、低い身長の親から生まれる子供は少し高い身長になる傾向があり、高い身長の親から生まれる子供は、少し低い身長になり、全体の平均に近寄っていくという現象です。
現在、平均への回帰は、経済や医療などさまざまな分野で活用されています。
そしてこの平均への回帰が、激しく上下を繰り返す株式市場にもおこるというわけです。
この「平均への回帰」を、何度も暴落を繰り返しながらも成長を続けてきた米国市場のデータをもとに確認してみましょう。
200年間の米国市場のリターン
下記のグラフは、株式投資の教科書と言われている世界的ベストセラー、ジェレミー・シーゲル著「株式投資の未来」のグラフです。
このグラフは、1802年に米国株式、長期国債、短期国債、金にそれぞれ1ドルを投資した場合の
インフレ調整後の実質リターンを表しています。
物価上昇を加味したリターンのことです。例えば昔はハンバーガー1個70円で買えていましたが、
今は100円じゃないと買えませんよね。このような物価上昇によるお金の価値の減少をを加味することで実質リターンを算出します。
まず一番注目すべきところは、驚くべき株のリターンです。
1802年に米国株式に投資した1ドルは、200年で60万倍の約60万ドルとなっています。
(同じ1ドルを200年間投資せずに持ち続けた場合、インフレ調整後の価値は7セントです。)
日本円で考えた場合、1ドル100円とすると、なんと約6,000万円です。
そして、年平均リターンは約6.5%トとなります。
これは、約10年で投資元本が倍になるリターンです。
72の法則
72の法則を使えば、リターンをもとに投資元本が何年で2倍になるかを計算できます。
<方程式>
72÷リターン=資金が2倍になる年数
例えば、年リターンが3%の場合
72÷3%=24
米国市場の平均回帰
この200年間の年率リターンは、どの時期から投資を始めても、期間を長期的にとれば、6.5%~7%の範囲を維持しています。
つまり、市場がどんな状況であろうと、長期で平均へ回帰しているということです。
米国といえば、1929年の「ウォール街大暴落」や、1979年の「ニクソンショック」、1987年の「ブラックマンデー」、2001年の「ITバブル」、記憶に新しい2009年の「リーマンショック」等、様々な大暴落を繰り返してきました。
世界で一番有名な大暴落である「ウォール街大暴落」では、たった1日で100億ドル以上が失われ、ダウ平均は3年かけて89%も下落しました。
しかし、そんな激しい暴落を繰り返しながらも、米国の投資リターンは長い年月をかけて
約6.5%の平均リターンに回帰していくわけです。
以上のことから、米国株式市場全体に投資するようなインデックス投資を長期で継続することにより、米国の平均リターンの恩恵を期待できるということがわかります。
世界のリターン
平均への回帰は、経済大国アメリカだけではなく、他の国々でも同様にみられます。
このグラフでは世界16か国の株式、長期国債、短期国債の100年の平均リターンが示されています。
これらの国々も、ほとんどが戦争や市場の暴落を経験していますが、長期間では米国と同じように平均的なリターンを出していることがわかりますよね。
現実的な投資期間でのリターン
ここまでは、株式市場全体の投資を長期間続けていくことの優位性について確認しました。
1976年に米国で初めて個人投資家向けにインデックスファンドを提供し、
「インデックスファンドの父」とも呼ばれている、バンガードグループ創業者故ジョン・ボーグルは、このような名言を残しています。
とにかく株式市場を全部買え。一旦株を買ったら、株式市場というカジノからは離れてそのままでほっておきなさい。市場全体が入っているポートフォリオを永遠に持てば良い。インデックス・ファンドの役目はまさにそれだ。この投資哲学はシンプルで洗練もされている上にベースとなる数式は否定のしようがない。しかし、この規律を守ることは簡単ではない。
株式の超長期保有は投資の理想です。
しかし、資産形成においては、将来目標のつみたて金額に達した場合は、その資産を一定額で取り崩したり、まとまった資金が必要となる場合もあります。
そして、資産形成の期間も、1人1人の年齢、夢や目標などによって変わります。
では、どのくらいの期間の投資から、リターンが安定してくるのでしょうか?
下記のグラフは、チャールズ・エリスの名著「敗者のゲーム」のデータです。
このグラフは、1900年~2000年の長期間にわたり調査、分析したインフレ調整後の株式、債券、キャッシュの収益率変動幅です。
この図の1年のグラフは、100年の対象期間中のどのタイミングでも、1年間の株の動きが約53%のプラスから約37%のマイナスの変動幅があるということを示しています。
例えば100万円の資産を株式で保有している場合、1年間で資産が53%増えることもあれば、37%減るということもありえるというわけですね。
しかしそんな激しい変動幅も、10年を超えてくると次第に狭くなり、期間が長くなれば長くなるほど変動幅が安定しています。
このことから、株式投資で安定したリターンを目指すなら、最低でも10年以上運用を続けていく必要性がわかります。
まとめ
株式市場に投資するインデックス投資は、市場の平均回帰性により、長期になればなるほどリターンが平均に収束していく。
本日も、最後までお読みいただきありがとうございました。