
こんにちは!番場FP事務所の番場です!
この記事では、現役時代にインデックス投資で築き上げた老後資産の取り崩し方法、つまり「出口戦略」について解説します。
また、後半では出口戦略の1つの手法として、バートン・マルキール著「ウォール街のランダムウォーカー」の中で紹介されている、4%ルールについても触れたいと思います。
20~30代で積立投資を始めたばかりの方にとっては、まだまだ先の話になるのであまり興味が沸かないかもしれません。
ですが、出口戦略を知ることで、投資が老後の資産形成に良いとされている理由がイメージできるかと思います。
インデックス投資の出口戦略は、資産形成時の目的によって変わります。
今回の出口戦略は、資産を老後生活資金として取り崩すことを前提としたお話となります。
インデックス投資の出口戦略とは
インデックス投資の出口戦略は、「運用しながら取り崩す」ということが基本となります。
目的は、現金化せずに運用を続けることで、資産寿命を延ばし、受取総額を増やすことです。
出口戦略は、大きくわけて3つの方法があります。
3つの出口戦略
定額取り崩し
毎回決まった金額を取り崩す方法です。
メリット
常に一定の金額を受け取るので、生活設計をたてやすいということです。
毎月一定額取り崩すことで、公的年金では足りない老後の生活資金を、安定的に補うことができます。
デメリット
基準価額が高い時に少なく売却し、基準価額が安い時にたくさん売却してしまうため、
他の取り崩し方法に比べて運用効率が悪くなってしまいます。
定口取り崩し
毎回決まった口数を取り崩す方法です。
メリット
自分で決めた期間で資産売却をできるため、計画的に資産を取り崩すことができます。
例)2400万口を毎月10万口ずつ売却
年間で120万口売却することになるので、20年間ですべての資産を売却
また、基準価額が安い時には売却金額が少なく、高い時に売却金額が多くなる為、定額取り崩しより効率よく運用ができます。
デメリット
相場の状況により受け取れる金額が変わるため、定額取り崩しにに比べると生活資金としては安定しません。
定率取り崩し
資産残高に応じて、毎回決まった率で取り崩す方法です。
メリット
相場の暴落時に資産が減少した時には売却金額も減少し、高騰している時に売却金額も増えるため、効率よく運用しながら取り崩しができます。
また、理論上は、取り崩す率より運用リターンが高ければ、資産を半永久的に引き出すことができます。
例)毎年4%定率取り崩し、運用リターンが5%
取り崩す率より運用利回りが1%高いので、資産は減らずに増えていく
デメリット
定口と同様で、相場の状況により受け取れる金額が変わるので、定額取り崩しにに比べると生活資金としては安定しません。
また、資産が減るにつれて受け取れる金額も減少していきます。
例)資産残高1000万円の場合、5%=50万円
資産残高500万円の場合、5%=25万円
バートン・マルキール推奨「4%ルール」
ではここで、出口戦略の一つの例として、バートン・マルキールが著書「ウォール街のランダム・ウォーカー」の中で推奨している、4%ルール※を紹介したいと思います。
※マルキールの推奨する4%ルールは、定率取り崩しとなります。
【バートン・マルキール】
1932年生まれ。経済学者。プリストン大学名誉教授。バンガード社の社外取締役も務める。
【ウォール街のランダム・ウォーカー】
1973年の初版以来、長年にわたって投資家に読み続けられてきた大ベストセラー。
初版から一貫してインデックス投資の優位性を主張しており、「インデックス投資のバイブル」とも言われている。
4%ルールの概要
・退職時の資産は、約半分が株式、残り半分が債券と仮定。
・資産から取り崩す額は、保有資産の4%以内にする。
四%ルールの下では、一年間に生活費のために取り崩す額は、虎の子の保有資産の四%以内にとどめるのだ。このルールさえ守れば、たとえあなたが一〇〇歳まで生きたとしても、資金が枯渇する心配はまずないと考えていいだろう。それと同時に、あなたが死んだ時に、退職時の蓄えとほぼ同額の遺産を相続する人に残せることになるだろう。
取り崩しを4%以内とする理由を簡単に要約すると、以下になります。
理由1.インフレ※対策
・まず、長期的な期待リターンが株式年平約均7%、債券が約4%。
・株式50%債券50%のポートフォリオの期待平均リターンが年約5.5%
・今後のインフレが長期平均が1.5%で進行するとする。
・インフレが進行すると、購買力が下がるので、購買力を維持する為にインフレ進行に合わせて期待平均リターン5.5%から1.5%を差し引いた4%を引き出す。
※インフレとは、モノの価格が上がり、お金の価値が下がることです。
理由2.短期的な変動に備える
・株式の長期平均リターンが7%だとしても、単年ではそのリターンを大きく上回ることも、下回ることもある
・暴落時に高い引き出し率を設定していた場合、資産が短期間で無くなってしまうが、引き出し率を低く設定していれば資産寿命は延びる。
インフレ対策と短期的な相場変動の対策を基本とし、インフレの進行具合や相場の状況により引き出し比率を変え、定期的にポートフォリオ※のリバランス※をするということが、マルキールの提案する4%ルールとなります。
※ポートフォリオとは、保有している資産の種類、組み合わせの配分のことです。
基本的には、リスク許容度や目標によって自身のポートフォリオを考えます。
※リバランスとは、ポートフォリオの配分割合を、当初の目的の割合に戻す作業のことです。
運用を続けていくと、相場の状況(資産の値上がりや値下がり)により、当初の割合が崩れてしまいます。そのバランスを直すことで、必要以上のリスクを取らずに運用が続けられます。
4%ルールの注意点
この4%ルールは、注意しなければいけない点があります。
それは、米国での生活をベースとした戦略という点です。
私たち日本人が、米国資産のポートフォリオで4%ルールを実践した場合、もちろん為替リスクが発生しますし、インフレ進行も米国と日本では違いがあります。
ただし、いずれにしてもルールの本質は同じなので、日本に住む私たちでも十分に活用できるものでもあります。
まとめ
本日は、インデックス投資の出口戦略の基本と、バートン・マルキールの「4%ルール」について解説しました。
出口戦略は、基本を抑えたうえで、老後のライフプランを想定することが重要となります。
そして、安定した老後の生活を実現する為には、「時間」という資産を味方にして、少額からでも積立投資を始めることが大切となります。
本日も、最後までお読み頂き、ありがとうございます。