
こんにちは!番場FP事務所の番場です。
この記事では、これから資産形成を投資で始めたいと検討している方向けに、最初に抑えておくべきポイントや、投資用語について解説します。
・投資の基礎知識
・代表的な商品の仕組み
・投資を始めるための準備方法
目次
投資とは
投資とは、対象に長期的に資金を投じることです。
成長が見込める対象を、長期的に保有し、配当や値上がり益を得ることを目指します。
短期的な利益ではなく長期的な利益を得ることを目的としている為、老後の資産形成向けの運用手法となります。
この投資に対して、対象の短期売買を行う「投機」という運用手法があります。
投機とは
投機とは、短絡的な価格変動を狙って対象に資金を投じ、利益を得ることを目指す運用です。
基本的には数時間~数週間で利益を確定する為、その都度売買コストや税金がかかります。
老後の資産形成というよりは短期での資産増加を狙う運用手法です。
投資と投機の違い
投資と投機は、運用手法の違いとなります。
株式という同じ金融商品でも、短期的な売買であれば「投機」となりますが、長期で保有するならば「投資」となります。
代表的な投資商品について知ろう
では次に、資産形成を始めるために抑えておきたい投資商品について解説したいと思います。
株式
株式とは、企業がお金を集めるために発行する証書です。
企業は、株式を発行し、その株式を投資家に買ってもらうことでお金を調達します。
では、なぜ株式の売買が行われるのでしょうか?
その理由は、株式が企業と投資家のどちらにもメリットがあるからです。
企業のメリットは、株式で調達したお金を投資家に返済する義務がないことです。
企業が金融機関からお金を借りると、個人がお金を借りる時と同じように、利息をつけて期限までに返さないといけません。
株式であれば、利息も返済も不要なので、安定した経営をするためにとても大きなメリットとなりますよね。
これに対して投資家のメリットは、投資した企業の成長に応じて、利益の一部を受け取れる権利を得ることです。
この利益受け取る権利が、配当金です。
配当金
配当金は、企業の利益と、投資家が保有している株数によって変わります。
たくさんの株式を持っていれば、その分配当金もたくさんもらえるというわけです。
また、配当金は必ず出るわけではありません。
企業の業績が悪かったり、企業が成長を優先してあえて配当を出さない(無配当)こともあります。
債券
債券とは、国や地方公共団体、企業などが、投資家から資金を借りるために発行する有価証券です。
一言で簡単にいうと、お金を借りるときの借用書のようなものです。
お金の貸し借りでは、お金を借りた証拠として借用証書を作りますよね。
債券も、お金をかりた証拠として「債券」を発行します。
投資家からお金を借りるということは、当然ですがその借りたお金は投資家に返さなければなりません。
この返済期限を、「償還日」といいます。
また、債券の発行体は、お金を借りている間投資家に一定の利息を払います。
この利息の事を「表面利率」といい、「クーポン」とも呼ばれています。
投資家は、償還日前に債券を途中で売却することができますが、その場合は投資元本が保証されていません。
また、購入先の企業が破綻した場合なども、元本割れしてしまうというリスクがあります。
債券には、利息が支払われない「ゼロクーポン債」や、表面利率が変動する変動利付債など、様々な種類があります。
投資信託
投資信託とは、投資家から集めたお金を1つにまとめて、運用のプロが投資家の代わりに株や債券などに投資し、その利益を投資家が受け取る投資商品です。
ファンドとも呼ばれています。
投資信託の仕組み
投資信託は、投資信託を販売する販売会社、投資信託を作り運用する運用会社、運用会社から指示を受けて株や債券を売買、管理する信託銀行の3社体制で成り立っています。
ここでの重要ポイントは、3つの会社は投資家から集めた資金を会社の資金とは別々に管理することが義務付けられているということです。
ですから、3社のうちどの会社が破綻したとしても、投資家の資金は守られる仕組みとなっています。
お金の流れ
投資信託のお金の流れは、以下の通りです。
投資信託おもなメリット、デメリット
メリット
1.個人では買うのが難しい投資先に投資できる
投資信託では、たくさんの投資家から資金を集めて投資できるため、個人で買うには大きな資金が必要となるトヨタやApple、Amazonなどの大企業に一度に投資することができます。
2.複数の投資先に投資するので、リスクが分散できる。
投資信託は、複数の投資先に投資をするため、投資先の1つの企業の価格が下がってしまっても、他の投資先で損失をカバーすることができるなど、リスクを分散できます。
3.少額(100円)から投資できる。
現在、投資信託は100円から投資でき、投資初心者が無理なく投資を始める際におススメできる商品です。
デメリット(注意点)
1.商品がたくさんあり、自分の投資方針にあった商品を選択する知識が必要。
投資信託は、6000本以上の商品があり、中には高額な手数料がかかる商品や、長期投資に向かない商品などがたくさんあります。
ですから、正しい知識を持たずに購入してしまうと、思わぬ損失を出してしまう恐れがあります。
2.手数料がかかる。
投資信託は、基本的に以下の3つの手数料がかかります。
販売買付手数料
購入する際に必要となるコストです。
この販売手数料は、証券会社などの販売会社がある程度自由に設定できます。
ですので、同一の商品でも、販売会社によって手数料の金額が異なる場合や、手数料を取らない販売会社もあります。
最近では、販売購入手数料が無料のノーロード・ファンドと呼ばれる商品が増えてきています。
2.運用管理費用(信託報酬)
投資信託を保有している限りずっとかかる費用です。
したがって、運用管理費用がどの程度かかるかを把握することはとても重要となります。
信託財産留保額
投資信託を解約する時に支払う手数料です。
この手数料も、販売買付手数料と同じように、手数料が必要な商品と必要ない商品があります。
※投資信託については、投資信託の基本解説で詳しく解説していますので、宜しければこちらもご覧ください。
投資商品を購入するためには
代表的な投資商品についてはなんとなくイメージできましたでしょうか?
では次に、株や債券、投資信託などの商品の購入方法について解説したいと思います。
1.証券会社を選ぶ
株や債券は、証券会社を通して購入します。(国債や一部金融商品は、銀行や郵便局窓口で購入できます。)
証券会社は、野村証券や大和証券などの対面で購入する総合証券と、SBI証券や楽天証券のようにインターネット経由で取引をするネット証券があります。
それぞれのメリット、デメリットを紹介します。
総合証券会社のメリット
メリットは、知識が豊富な担当者に直接相談して商品を購入できることです。
わからないことがあれば、その場で質問できるという安心感があります。
デメリット
デメリットは、必ずしも顧客にとって利益のある商品を勧めてくれるわけではないところです。
また、取引手数料もネット証券に比べて高くなってしまいます。
この2つのデメリットの理由としては、総合証券は対面サービスの為のコスト(店舗や人件費など)を回収しなければならないことなどが挙げられます。
ネット証券会社のメリット
ネット証券のメリットをまず挙げるとするならば、なんと言っても売買手数料が安いということです。
理由は、総合証券のように店舗や人件費などのコストがかからない為、低い手数料で収益をだせるということです。
また、ネット環境があれば場所や時間にとらわれず取引や投資関連情報を確認できることも、メリットとなります。
デメリット
ネット証券のデメリットは、運用商品や運用方法などを直接相談できない為、自分で知識を身につけなければいけないところです。
このデメリットは、逆に言えばしっかり知識を身に付ければ、安い手数料で取引ができるというメリットとなります。
2.証券会社を選んだら、証券口座を開設する
証券会社を決めたら、今度は証券口座を開設します。
現在、口座開設はインターネットからいつでも気軽に申込ができます。
口座開設までの流れは次の通りです。
➀証券会社HPから口座開設の申込をする
➁必要事項入力、本人確認書類の提出
➂口座開設の通知の到着
➃指定の証券口座に入金
証券口座の種類
証券口座には、3つの種類があります。順にみてみましょう
特定口座・源泉徴収あり
投資初心者に一番おススメの口座で、投資家の多くが、この口座を選択します。
ポイントは、証券会社が1年間の取引の損益をまとめた年間取引報告書を作成し、投資家の代わりに税金を計算して納めてくれるので、確定申告が不要というところです。
ですから、面倒な手続きをすべて証券会社が肩代わりしてくれる口座ということになります。
特定口座・源泉徴収なし
特定口座・源泉徴収なしは、年間取引報告書を証券会社が作成し、それをもとに投資家が自分で確定申告をします。
一般口座
一般口座は、税金の計算、確定申告を投資家がすべて自分でおこないます。
ですから、特定口座と比べると投資初心者には難易度の高い口座となります。
NISA(小額投資非課税制度)とは
2014年1月から、税制優遇制度であるNISAがスタートしました。
NISAは、NISA口座内で、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品(株や債券、投資信託等)から得られる運用益が非課税になる制度です。
通常、投資の利益には約20%の税金が課されます。(2020.4月現在)
NISAでは、どんなに利益が出たとしてもすべて非課税となるので、資産形成の強い味方となります。
20万円でA株を購入、その後A株が30万円になったので、売却
<NISA以外の口座の場合>
売却益10万円×税率約20%=2万円
10万円-2万円=8万円
利益 8万円
<NISA口座の場合>
売却益10万円-0万円=10万円
利益 10万円
NISA口座デメリット
NISA口座では、どんなに利益が出ても非課税ですが、損失が出た時は、損益通算ができないというデメリットがあります。
損益通算とは
損益通算とは、投資で損失が出てしまった場合に、他の投資で得た利益からその損を差し引き、税金を節約する方法のことです。
簡単に例を挙げてみましょう。
<2019年の投資損益>
投資信託Aの利益20万円
投資信託Bの損失10万円
<損益通算しない場合の税金>
20万円×税率約20%=4万円
<損益通算する場合の税金>
投資信託Aの利益20万円-投資信託Bの損失10万円=10万円
10万円×税率約20%=2万円
このケースの場合、損益通算をすることで2万円の税金が節約できることとなります。
NISAの種類
NISAは、全部で3種類あります。
それぞれの特徴を確認してみましょう。
NISA
日本に住んでいる20歳以上の方が利用できます。
毎年120万円を上限に、最長5年間で600万円まで投資できます。
株式や債券、投資信託やREITなど、幅広い投資商品が購入できます。
ジュニアNISA
日本に住んでいる0歳~19歳の方が活用できる制度です。
原則として、親権者等が未成年の代わりに運用を行います。
毎年80万円を上限に投資でき、投資期間終了後も、一定の金額までは20歳になるまで引き続き非課税で保有できます。
※2023年に終了することが決定
つみたてNISA
少額からの長期・積立・分散投資を支援する為に2018年1月からスタートした制度です。
毎年40万円を上限に、最長20年間で800万円まで投資できます。
金融庁が設定した一定の要件のもと、長期で運用しやすい商品が選定されている為、将来の資産形成に適した制度となります。
その為、NISAに比べると投資できる商品が限られています。