投資信託の基礎

こんにちは!番場FP事務所の番場です!
この記事では、投資信託の仕組みについて解説したいと思います。
投資信託は、つみたてNISAやiDeCoを始めるうえで抑えるべき商品となるので、この記事で基礎をしっかり理解しましょう。


この記事を読んでわかること

・投資信託の基礎的な仕組みと、株式や債券との違い
・投資信託のメリット・デメリット
・投資信託の運用スタイル

投資信託とは

投資信託とは、投資家から集めたお金を1つにまとめて、運用のプロが投資家の代わりに株や債券などに投資し、その利益を投資家が受け取る投資商品です。

「ファンド」とも呼ばれています。

株式や債券との違い

ここで、株式や債券との違いを簡単にご説明します。
株式や債券は、それぞれ1つの対象を投資家が自分で選択して買います。

例えば、A株が1単元※50万円、B株が1単元40万円の場合、A、B株をそれぞれ購入する為には90万円必要となります。
そして、A、B株の持分からの利益もすべて投資家が得ることができます。

※単元とは・・・株式は取引きできる単位が決まっており、一般的には1単元100株から購入可能です。



株式



これに対して投資信託は、たくさんの投資家からお金を集めて1つの資金とするので、少額でたくさんの投資対象に投資することができます。

そして、発生した利益は、投資額に応じて投資家に分配されます。



投資信託

投資信託メリット、デメリット

メリット

1.個人では買うのが難しい投資先に投資できる

たくさんの投資家から資金を集めて投資できるため、個人で買うには大きな資金が必要となるトヨタやApple、Amazonなどの大企業にまとめて投資することができます。


2.複数の投資先に投資するので、リスクが分散できる。

複数の投資先に分散して投資をするため、投資先のうちの1つの企業価格が下がってしまっても、他の投資先で損失をカバーすることができるなど、リスクを分散できます。


3.少額(100円)から投資できる。

現在、投資信託は100円から投資でき、投資初心者でも無理なく気軽に投資ができます。

デメリット(注意点)

1.商品がたくさんあり、自分の投資方針にあった商品を選択する知識が必要。

投資信託は、6000本以上の商品があり、中には高額な手数料がかかる商品や、長期投資に向かない商品などがたくさんあります。
ですから、正しい知識を持たずに購入してしまうと、思わぬ損失を出してしまう恐れがあります。


2.手数料がかかる。

投資信託は、買付時や保有中、解約の時などに手数料がかかります。
これらの手数料は商品によって大きな差がでるので、注意が必要となります。

投資信託の仕組み

投資信託は、投資信託を販売する販売会社、投資信託を作り運用する運用会社、運用会社から指示を受けて株や債券を売買、管理する信託銀の3社体制で成り立っています。
ここでの重要ポイントは、3つの会社は投資家から集めた資産を会社の資金とは別々に管理することが義務付けられているということです

つまり、3社のうちどの会社が破綻したとしても、投資家の資金は守られる仕組みとなっています。

投資信託のお金の流れ

投資信託のお金の流れは、以下の通りです。

投資信託の仕組み

投資信託の値段

財布
投資信託の値段は、基準価額と呼ばれています。
また、取引単位では「口(くち)」が用いられ、一般的に基準価額は1万口当たりの金額で表示されます。

基準価額の変動

基準価額は、日々変動します。

さまざまな理由で基準価額は変動しますが、主な要因としては、投資信託に組み込まれている株や債券の価格変動の影響や、為替変動、金利変動などがあげられます。

また、分配金の支払や運用コストによっても、基準価額は変動します。

そして、基準価額は、証券取引所の取引終了時の株や債券の価格をもとに計算されます。

ですので、株のように常に値動きをしているわけではなく、1日1回しか価格が動きません。
(ETFと呼ばれる投資信託は、株と同じように常に値動きします。)

投資信託の購入価格

申込の時点では価格がわからないブラインド方式で取引されます。

したがって、購入した投資信託がいくらで買えたかを私たちはすぐに知ることができません。

価格がわかるのは通常、国内投資商品であれば翌日、海外投資商品なら翌々日になります。

投資信託の購入方法

金額買付、口数買付の2つの購入方法があります。

投資信託の購入方法

1.金額買付
購入金額を決めて、購入する方法です。
購入後、基準価額が確定した後に購入口数がわかります。

2.口数買付
購入口数を決めて、購入する方法です。
基準価額が確定するまで購入金額はわかりません。

例)投資信託を1万円の金額指定と1万口の口数指定した場合の違い


金額指定と口数指定

投資信託のコスト

基本的に以下の3つの手数料がかかります。

販売買付手数料
購入する際に必要となるコストです。
この販売手数料は、証券会社などの販売会社がある程度自由に設定できます。
ですので、同一の商品でも、販売会社によって手数料の金額が異なる場合や、手数料を取らない販売会社もあります。
最近では、販売購入手数料が無料のノーロード・ファンドと呼ばれる商品が増えてきています。

2.運用管理費用(信託報酬)
投資信託を保有している限りずっとかかる費用です。
したがって、運用管理費用がどの程度かかるかを把握することはとても重要となります。

信託財産留保額
投資信託を解約する時に支払う手数料です。
この手数料も、販売買付手数料と同じように、手数料が必要な商品と必要ない商品があります。

投資信託と分配金

投資信託には、運用によって得られた収益を決算ごとに投資家に分配する分配金の仕組みがあります。
この分配金の扱いは、以下の3つに分かれます。

分配金の仕組み

1.分配金を受け取る。
2.分配金を再投資する。
3.分配金なし

それぞれのメリットデメリットを確認しましょう。

1.分配金を受け取る。

メリット
定期的に収入を得ることができる。

デメリット
分配金を受け取ることで投資信託の運用資産が減るので、長期的な運用効率が下がる。

2.分配金を再投資する。

メリット
分配金を再投資することで、複利効果により、長期的な運用効率が上がる。

デメリット
解約しない限り、利益を受け取ることができない。また、一度分配金を受け取ったことになるので、税金が引かれる。

3.分配金なし

メリット
利益がそのまま再投資され、税金もかからないので、複利効果を最大限得ることができる。

デメリット
解約しない限り、利益を受け取ることができない。

分配金再投資グラフ

毎月分配型投資信託

投資信託の人気商品の1つに、毎月分配型投資信託があります。

投資家は、毎月現金が手に入るので安定した収入が見込めるという商品ですが、大きなデメリットが存在するので、注意が必要です。

毎月分配型投資信託のデメリット

毎月分配型投資信託最大のデメリットは、投資元本が減り続け、「資金を投じて資産を増やす」という、投資本来の目的を達成できない可能性があることです。

これは、投資信託の分配金の仕組みに理由があります。



投資信託の分配金は、利益から出る「普通分配金」と、元本を切り崩して分配される「特別分配金」(元本払戻金)があります。

普通分配金は、利益からの分配なので特に問題はありません。

しかし、特別分配金は、投資家の投資元本から支払われます。

つまり、投資家からすれば自分の投資したお金をただ単に返してもらっているだけということですね。

この特別分配金は、自分の足を食べているタコをイメージさせることから、「タコ足配当」とも呼ばれています。

そして、特別分配金が続くと、投資家の元本は減り続けてしまうことになります。
分配金の仕組み

また、毎月分配型は、無配当のインデックスファンドより手数料が割高であるため、資産形成の手段としてもおススメできません。

しかしながら、投資家が支払う手数料が高い毎月分配型投資信託は、売り手にとっては売上ノルマを達成するうえで魅力的な商品のため、金融機関等の窓口では積極的に勧められているのが現状です。

投資信託の運用スタイル

投資信託の運用スタイルは、「インデックス投資」「アクティブ投資」の2種類にわかれます。



目指す運用スタイル

インデックス投資

インデックス投資は、インデックス(市場の動向を示す指数)と同じ値動きを目指す運用のことです。
インデックスは、日経平均やTOPIX、ダウ平均やS&P500等、数多くあり、その中から目指すべき指数を選び、運用を行います。

インデックス投資のメリット

・手数料が安い

インデックスに連動するように銘柄を組み合わせるので、投資先の調査・選定費用がかからず、機械的に運用ができるため、手数料が低く設定されています。
最近では、信託報酬が0.1~0.3程度の優良なインデックスファンドも増えてきています。


・長期運用では、アクティブ投資よりパフォーマンスが優れている

インデックスファンドは、パッシブ(受け身の)ファンドとも呼ばれ、消極的な投資方法と言われてきていました。

しかし実際には、長期的にはほとんどのアクティブファンドが、インデックスファンドよりも運用成績が悪いというデータがあります。

理由は様々ありますが、大きな要因の1つとしては運用コストの差が挙げられます。

Caution

すべてのインデックスファンドが優れているわけではありません。
また、基本的には低コストといわれているインデックスファンドの中にも、手数料が高めのファンドもあります。


インデックス投資のデメリット

・インデックスを超える大きな値上がりを期待できない。

あくまでインデックスと同じ値動きを目指すので、平均以上の運用成果は期待できません。


MEMO

インデックス投資については、
「資産形成の第一歩!インデックス投資とは」
「世界の市場を買える?!インデックス投資の具体的方法とは?」
の記事でも詳しく解説していますので、宜しければこちらもご覧ください。

アクティブ投資

アクティブ投資は、その名の通り積極的にインデックスを上回る成績をあげることを目指す運用方法です。
ファンドマネージャーが、知識と経験を活かして運用商品を選び、ベンチマークとするインデックス以上の成績を目指します。


アクティブ投資のメリット

・運用に成功すると、大きな利益を得ることができる。

アクティブ投資は、運用がうまくいくと投資家は大きな利益を得ることができます。

・商品が豊富

アクティブ投資は、選定する商品の幅が広いので、様々なテーマや分野に投資することができます。


アクティブ投資のデメリット

・運用が失敗すれば大きな損失が出る。

大きなリターンを狙うためにリスクを積極的に取るため、失敗したときは大きな損失が出てしまいます。

・手数料が高い

インデックスを超える運用成果を目指すために、銘柄の調査、選定に関わるコストや、銘柄の入れ替えによるコストがかかるため、インデクスファンドに比べて手数料が高くなります。

MEMO
インデックス投資とアクティブ投資について知識を深めたい方は、ぜひ下記の名著を読んでみましょう。
・チャールズ・エリス著 
「敗者のゲーム」
・バートン・マルキール著 
「ウォール街のランダム・ウォーカー」